« 炎熱・甲子園 | メイン | アベさんへ、かつてお世話になった若造より »

2024年10月18日 (金)

大谷という奇跡

Otani
この前、散髪に行った時に雑談していて思ったんですけど、このところ誰かと話していると必ず出る話は、この夏がいかに暑かったかと、大谷がいかにすごいかという話です。
大谷翔平選手のことは、彼が高校生の頃から日本中が知ってたわけで、常に話題になる人でしたし、その都度、こちらの期待を遥かに超えてくれる人ですから、そのことには変な意味で我々も慣れてしまってるんですけど、ちょっと冷静に考えてみると、この人、えらいところまで行ってしまってるわけですよ。
はじめ、岩手のほうの高校野球の投手で150km/h 投げる選手がいて、「みちのくのダルビッシュ」と呼ばれているらしいということで、甲子園にも行ってちょっと注目されるんです。高3の時には甲子園には出れなかったけど、160km/hを出して騒ぎになりまして、この選手は投げるのもすごいけど打つのもすごいという話で、ドラフトではプロ球団から指名されそうだということになりました。そしたら本人は、高校出たらメジャーリーグでプレーがしたいという希望で、
「日本のプロよりもメジャーリーグへの憧れが強く、マイナーからのスタートを覚悟の上でメジャーリーグに挑戦したい」と語りました。
多くの球団が彼の周辺と接触を図り、ほとんどの球団がドラフトでの指名を回避しますが、北海道日本ハムファイターズは、大谷を一巡目で単独指名し、交渉権を獲得します。ただ、大谷は
「アメリカでやりたいという気持ちは変わらない」と語り、
日本ハムから訪問を受けた際にも面会しませんでした。そこから、栗山監督はじめ日本ハム球団は、粘り強く交渉と説得を続け、投手と打者の「二刀流」育成プランなども提示され、この年の年末に仮契約が結ばれ、入団会見をします。
と、これが2012年、ここからの活躍はご存じのとおりですが、
2013年の入団以降「二刀流」で、試合に出場、
2014年、11勝10本塁打で、日本プロ野球史上初となる「2桁勝利、2桁本塁打」達成
2016年、投手と指名打者の両部門でベストナインのダブル受賞に加え、リーグMVP
この年、日本ハムファイターズは日本一達成
2017年オフ、メジャーリーグ ロサンゼルス・エンゼルスに移籍
2018年、投打にわたり活躍し、新人王受賞
2021年、2001年のイチロー以来、アジア人史上二人目のシーズンMVP受賞
2022年、MLBでベーブ・ルース以来104年ぶりとなる「2桁勝利、2桁本塁打」達成
そして、近代MLBで投手打者の両方で規定回に達した初めての選手となる。
2023年のWBCでは、エース兼打者として日本代表に貢献、MVP受賞。これは泣いた。
このシーズン、アジア人初の最多本塁打と2回目のMVP受賞、アジア人史上初のハンク・アーロン賞受賞
それから、ロサンゼルス・ドジャースに移籍した今年、故障もありピッチャーとしてのパフォーマンスは諦めて打者に専念するのですが、専念したらしたでホームランも安打も量産し、出塁したらしたで、盗塁もすごい数になり、シーズン後半には、40盗塁40本塁打達成かという騒ぎになりまして、そしたら、そんなものはとっとと通過してしまいまして、シーズン終盤には、50盗塁50本塁打を成し遂げます、50本決めた日には一気に3本も打ちましたよ、まったく。
結果、59盗塁54本塁打ですから、ともかく破格のスケールなんですね。

メジャーリーグというところは、それこそ世界中の野球的身体能力の突出した人たちが、その技と力を競っているところでして、その中で次から次へとそのハードルを超えてゆく彼の姿は、今や大リーグでプレーする一流の選手たちからも、憧れをもってリスペクトされており、オールスター戦のベンチでは、大谷選手のサインを求めて一流プレーヤーたちが列を作り、ニコニコ記念写真を撮っておりました。
この人が積み重ねた成果や到達した場所とかは、とんでもないことなんだけど、彼自身は自分が決めた目標に向かって、ただ淡々と鍛錬を重ねて何気に結果を出しているだけのように見えるところがすごいんですね。
そこには何かを手に入れるための悲壮感とか、煩悩と闘う修行僧みたいなところがなくてですね、やってることはすごいんだけど、そんなこともないんだろうけど、なんだか普通の人に見えるところは、今どきなんでしょうか。
特別なスペシャルな生き方をしているような印象も与えず、タイプの女の子を見つけたらアプローチして普通に結婚もしてるし、まあ、すごいことお金もあるんだろうけど、そういうこともあんまり感じさせずに、インタビューされてる時も、その辺りの30歳の青年で、ただ奥さんと犬と幸せに暮らしていて、でも、ベースボールプレーのものすごいハイレベルの領域にいて、世界中を魅了してるわけです。
大谷くんは、生まれついてのベースボールの天才なのだろうし、その才能を惜しみない努力で磨き続けていることもよくわかるのですが、この人は少年の頃から自分の行先やなるべき姿を、かなりはっきりイメージできていて、それを自ら信じる能力も並外れて高いんだと思うんですね。彼がプロの世界に入った時に、栗山さんはそのことを誰より強く感じたんじゃないでしょうか。
ともかく、僕らと同じ国から現れた、この奇跡のような人の、ワールドシリーズも含めた今後を、楽しみに見守ってまいりましょう。

コメント

コメントを投稿