心が残るということ
人の縁とは不思議なもので、ある時深くかかわると思えば、疎遠になったり、また近づいたり、好きになったり嫌いになったり。そして、突然の別れがやってきたり。
先日、大切な友を失くしました。54歳でした。
知り合ったのは、30年も前、彼は四つ年下で、新入社員として私の働いていた会社に入ってきました。ちょっと面白い奴でしたが、数年して彼は会社を辞め、その後、私も会社を辞め、しばらく会っていなかったのですが、ひょんなことから、この数年付き合いが再開し、今度はすごい勢いで接近し、しょっちゅう一緒にいるようになりました。
彼も私も年相応に変わったかもしれないけど、昔とは関係がまた違って、なんだか気が合って、4歳違いの兄弟ができたようでした。
でもこの秋、思いもかけぬ別れがやってきました。急病で入院して、何をする間もなく、逝ってしまいました。まだ実感がありません。
こたえました。
運命とでもいうのか、何かの力が人を近づけたり離したり、突然連れ去ったりしているのでしょうか。悲しくていろいろなことを考えさせられて、まだどうやって気持ちの折り合いをつけていいのかわからぬままです。
昨夜、彼を偲ぶ会が行われて、私は司会をすることになり、彼に何かを語らねばと思い手紙を書きましたが、でも、その場で手紙を読むことはできませんでした。彼の二人の息子が、お父さんを語ったところから、私は涙で何もしゃべれなくなったんですね。弟分のヒロシは、清書した手紙を9分もかけてきちんと読んだのに…立派でした。
手紙は彼の奥さんにお渡ししました。
以下、ちょっと長い手紙です。
いまだに君の不在に、何の実感ももてず、受けいれることできずにいます。
いい年をして、いつまでもこんなことを言っている自分をどうしようもなく、そのような気持ちのまま、今夜は、君を偲ぶ会の司会をさせていただくことになりました。
君が大好きだったゴルフを、この数年間は、たぶん最も一緒にプレイしたと思われるので、・・・・・・・、私がやらせていただきます。
君のゴルフは筋金入りでしたね。時間をかけて、それこそきちんと鍛錬し研究して身につけたもので、本当にゴルフというものに対しての造詣が深かったし、全くほれぼれする球筋でした。
プレイのスタイルもファッションもかっこよかった。
何に対しても、興味があることにはきちんと向き合う人でしたよね。
何年か前に、ひょんなことから君とゴルフをやるようになった私はといえば、ゴルフというものに対していい加減で、どうやって取り組んだらよいのかも、分かってない人でした。
でも、君を通して知るゴルフは本当に面白くて、いつの間にか本気でやるようになり、君と君の先生でもあるヒロシプロの特訓を受けて、毎回、目からうろこが落ちる気がしたものです。
結局のところ、100のあたりを行ったり来たりで、君の大のゴルフ友達というにはちょっと恥ずかしくて、君にも悪い気がするのですが、ほんとによく一緒にゴルフをしました。
ただ、よく考えてみると、ゴルフは口実でもあり、私は君に会いたかったんだと思います。
君とゴルフをしながら、つまらない冗談を言って笑ったり、仕事や家族や友達の話をしたり、また次のゴルフの相談をしたりする時間が、私は大好きでした。
きっと君の人柄なんだと思います。
ゴルフの連絡は、いつもメールできましたが、そのたびに顔がゆるみました。君は酒が飲めないのに、一緒に飯食ってるとほんとに楽しかったし、いろいろ旅行にも行きました。君の仲間ともたくさん友達になれました。
本当に世話になりました。
ところで、君と初めて出会ったのは、間違ってなければ、1981年の春でした。君が初めて就職した会社に、すでに先輩として私がいたわけで、ずいぶん昔の話ですね。一緒に仕事もしたけれど、君は湘南のサーファーで、波のいい日には波に乗ってから出社するような奴で、私は、毎晩どこかのバーで突っ伏して寝てるような奴だったから、あんまり接点なかったし、そのうちに君は会社辞めて、湘南に帰って事業を始めたから、しばらくご無沙汰していました。
でも、縁というものはつながってて、私にとって、6歳年上の兄のような先輩が二人いるのですが、この二人が昔から仲良くて、15年ほど前に、湘南の君の家のすぐ近くに住み始めたんですね。コーちゃんと、ヤマちゃんですが。
そしてこの二人が、まさに君の10歳年上の双子の兄のような存在になりました。
ほんとに仲良しで、笑いが絶えなくて、わたしはたまに3人を見かけると、
「よっ、湘南三バカトリオ!」などと言っておりましたよ。
君も、「ほんとにしょうがない人たちですよね。」などとぼやきながら、
ほんとに兄さんのように思ってたと思います。
私も君のゴルフの弟子みたいになってからは、よく湘南にも行くようになって、四バカカルテットみたいになって、私、一人っ子だから男兄弟ができたみたいで嬉しかったんですね。
君は、仕事でも地元でもほんとに頼もしいリーダーだったから、気持ちのいい後輩たちがたくさん集まっていて、いつもにぎやかでした。
こんな時間がずっと続くことに、何の疑いもなかったですね。
急いで逝ってしまったから、心残りのことも多かったと思うけど、私でよかったらいつでも話しかけてほしい。
君からもらったものは、ずっと大切にしていきます。
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