お伊勢参り
このところ、ずっと定期的に帰郷しているんですけど、ひとつには両親が90代の半ばということで、何かと気にかかることが多く、まず父と母と顔を合わせるため、また、いろいろに身体の機能が弱くなっていることで、日頃父母がお世話になっている方々へのご挨拶と聞き取りなど、それと、骨董品となった実家家屋の維持管理のことなど、いろいろあります。
ただこのペースで通っていると、慣れてきたこともありますが、かつて遠く感じていた故郷との距離は、ずいぶん短く感じるようになりました。現に品川ー広島間は、4時間を切っておりますし、なんなら日帰り出来そうなくらいです。初めて上京した時の寝台列車と比べれば、格段の進化と云えます。
格段の進化と云えば、その列車の乗り降りをする駅、ステーションも気が付けばものすごい形に変化しております。考えてみれば、どこも大きな街の大きな駅は、いつでも工事中で、徐々に日に日に巨大化しておったわけで、久しぶりに降り立ってみると、ホテルもデパートもいろんなものが内包されて、すっかりその姿を変えています。
使い慣れていないので、どちらを向いて歩いているのかわからなくなったりして、どうもどこの駅も同じような形とデカさで、なんだかその土地その土地の個性も無くなってきたかなと思うのは、こっちが時代遅れなのかもしれません。明らかにその機能は大きく進化していて、多分ものすごく便利になっているのですよね。端から端まで歩くとへとへとになりますけど。
このところ、地方の大きな駅に降りることが続きまして、東京も広島もそうなんですけど、京都、博多、名古屋、盛岡、大阪なども、皆よく似た巨大な駅になりつつあります。
先日も、家族で広島のおじいちゃんおばあちゃんに会いに行く計画を立てたんですけど、ちょっとついでに名古屋のお墓と神社にお参りして、せっかくだからお伊勢さんにもご挨拶して行こうかということになり、旅程を1日追加してお伊勢参りもすることにしたんですね。_
若い時には何も関心がなかったのですが、そう云えばこの国には古くからお伊勢参りという習慣があって、昔からいろんなお話にお伊勢参りは登場します。これって年取ってくるとわりと身近になってきて、うちの奥さんもけっこう詳しいし、いろいろと身の回りの話題に出てくるようになります。何年か前にもいきましたし、忘れてたんですけど、私、小学校の修学旅行も1泊2日のお伊勢さんでしたもんね。
伊勢神宮は、名古屋の駅から近鉄に乗って約1時間でして、その指定席特急券も今やネットで予約できます。基本的に、外宮(げくう)と内宮(ないくう)があって、ひと通りお参りするとわりと時間もかかるのですが、やはり何やら時空を超えた厳かな佇まいの中、身も心も洗われたような心持ちであります。お参りを終えますと、お札など頂戴して、最後にその鳥居に一礼してその場を辞するのですが、内宮前には、おはらい町・おかげ横丁など、土産物屋や飲食店が軒を連ねており、赤福もちや、松坂牛や、伊勢うどんや、ビールなどをいただきつつ帰路に着きます。たぶん昔の人も、こうやってお伊勢参りしてたんでしょうね。
それにしても、この日も多くの方々が全国から列をなしてお参りしておられまして、やはりここは古くからの日本人の心のふるさとなんだなと感じたようなことです。
やや神妙な気持ちになって、なんだかいろんなことをお祈りしました。そもそも神様と交信する能力などはありませんが、ただ、霊験あらたかでありますようにと。
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