手書きの手紙
この前、年賀状のことを書いていて、ふと思ったんですけど、そういえば今は、昔に比べて手紙という手段をわりと使うようになっているわけで、まあ多くは、メールとかLINEとかのことなんですけど。
私たちが若かった頃はそういうものはなくてですね、何かを伝えたい時には、ともかく電話の時代でした。そんですべてが固定電話ですから、お互いが居る場所にかける、居なければ伝言を残してかけ直してもらったり、留守番電話に吹き込んだりしてましたが、それでも、いつ手元に届くかわからない葉書や手紙よりは、確実に用件が伝わっていたわけです。途中でFAXというものが登場して、これがなかなか便利だったんですけど、これに関しては、用件が相手に届いたかどうかが確認できないという弱点がありまして、まあ、電話の場合も、言った言わないということもあるんですけどね。
私、若い時にやっていた仕事が、テレビコマーシャルの制作進行でしたから、毎回かなりの数のスタッフに、たくさんのことを相談したり、連絡をしたりしなければならなくて、基本的には大人数のスタッフを一箇所に集めて打ち合わせするんですけど、そこでこぼれる話は、個々に会ったり、電話してフォローするんですね。そういうことを繰り返してますから、スキルとしては、ともかく相手を捕まえる能力と、話をする能力が鍛えられます。先方にこちらの意図を、ある精度でいかに短時間で伝えられるかを、いつも試されているわけです。
そういうことなんで、キャラとしては、なんだか妙にしゃべくり上手な芸風になっていくんですね。
ただ、この業界は、忙しい人はメチャクチャ忙しくて、そういう方とは、なかなかゆっくり打ち合わせもできないみたいな側面もありまして、お会いしたり電話する前に、あらかじめ伝えたいことを手紙にして届けておくということをするようになります。この手紙は、文面のわかりやすさと文字の読みやすさも大事な要素になり、これの良し悪しが、その後の打合せの精度に影響したりします。これは、こちらの頭をあらかじめ整理しておく意味でも有効なわけです。
手紙というのは、こちらが伝えたいことを、ある程度落ち着いて受け取ってもらえるツールだし、いろいろなニュアンスを織り込むこともできます。面と向かって熱く語りながら、早急にものごとを前に進めてゆくのも良いのですが、手紙を託したり、受け取ったりしながら意図を伝え合うのも、悪くないコミニュケーションではあります。
もっとも、ご存知のように今の時代、伝達のとっかかりはメールとかLINEとかですよね。まず話すんじゃなく、何らかの文を読んでもらうことからやりとりが始まる。全員スマホを持っていて、いつでも直接本人に電話はつながるんだけど、相手がすぐに話せる状況かどうかもわからないから、まずメールして要件を伝えることが多いですよね。急いでる時は、いきなり電話することもありだけど、まあいろいろコミュニケーションの選択肢も増えているわけです。隣の席なのにメールしてる人もいますよね。
それはそれとして、仕事に限らずですけど、たまに手書きの手紙をいただくと、なんだか嬉しい心持ちになりますね。例えば、尊敬する目上の方などから、達筆のていねいなお手紙いただいたりすると、ほんとに感激します。その方の筆跡に、それを書いておられる時の、空気感すら読み取れる気がするのですね。
そんなふうに感じているものですから、自分でも、何か気持ちを伝えたい時とかには、なるべく手書きの手紙を書くようにしておりまして、しかしながら、昔から字を書くのは下手くそで、なかなかの悪筆なものですから、多分、パソコンで打って印刷した方が、よほど体裁も良いのですけどね。
まあ、この歳になれば、これから鍛錬しても急に上手になる気もしませんし、字面というのはある意味個性だという話もあるし、これも味ということで、、、などと自己弁護しております、はい。
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