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2016年11月22日 (火)

引越しのあとで

少し前に、テレビで 「となりのトトロ」 をやっていて、またしても見てしまったんですけど、これほど何度も見た映画もなかなかなくてですね。1988年に公開されて以降、幾度となく放送されているし、家にビデオもありますから、子供が小さかった頃にも、何度も一緒に見ておりました。そんなことですから、見ながらにして、次のセリフも言えてしまうし、いい歳して、必ず同じところで泣いてしまったりもするわけです。そして、その度に、これは名作だなと唸るんですね。まあ、映画というのは、リピートに耐えることが、名作の条件だったりするところがあります。

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この物語の冒頭は、主人公の父娘3人がこの土地にやって来る引越しの場面なんですけど、これがなかなかいいシーンでして、このあとの様々なドラマの展開の起点になっているんですね。確かに引っ越しって、新しい何かに出会う期待と不安があって、物語の始まりとしては、うってつけの設定なのです。

ちょうど私も、会社の中で6年ぶりに席を替わる大引越しの最中でして、6年間に溜まりに溜まった本の山に囲まれて、かたずけに追い立てられておりまして、ちょっと古本屋で店番してるオヤジのような風情になっております。

そこで、ふと、これまでずいぶんと引越しをしてきたなあと思ったんですね。

子供の頃は、父親の仕事の都合で、幼稚園も小学校も中学校も転校を繰り返しておりまして、そのあと大学は上京してきましたので、この時は一人の引っ越しでしたし、一人になって何年かは落ち着いたんですが、そのうち働き始めてから、住んでたアパートが取り壊しになることが二度ありまして、まあ老朽アパートだったんですけど、その都度、住み家を変えます。

やがて結婚することになって、また別の街に越しますが、今度はその街の中で3度引越して今に至ります。勤め先が変わったり、またその場所が変わったり、こちらも大小の引っ越しが数々ありまして、考えてみると、好むと好まざるとにかかわらず、ずいぶんと引越しの多い人生じゃないかと思いますね。

子供の頃はともかく、大人になってからの引越しは、回を重ねるごとに、だんだんと大ごとになります。若い頃はお金もないし、荷物の大半はゴミだから、捨てればあらかた片づいて、軽トラック一台借りてくれば済んじゃうんで、わりと苦にならなくて、気分転換にもなるから、むしろいろんな場所に住んでみたいななどと思っていました。

でも、年齢を重ねると、いろんなことが身軽じゃなくなってくるんですね。家族もできたり、家財道具や荷物も増えてきて、これは、歳とともに人間関係やしがらみが多くなってくるのと似ております。

思うに、引越しというものは、「さよなら」と「こんにちは」で出来ておりまして、それは、街だったり、物だったり、人に対してだったりしますが、そこには、若干の寂しさと、いくばくかの期待と、何ともいえぬ不安などがありまして、いろいろな気持ちを抱えながら、新しい場所に移ってゆくんですね。

引越しには、ある意味リセット効果などもあって、まあ悪いことばかりでもなかったかなと思いますが、自分の性格にちょっと薄情なところがあるのは、引越しが多かったせいかなと思ったりするところがあります。これは自分じゃわからないんですが、ちょっと別れということに対して淡白で、わりと早めに諦めてしまうような、そこは転校生にありがちなところかもしれませんけど。

いずれにしても、人生は出会いと別れの繰り返しではあります。それがその人にとって、良いこともあれば、良くないこともあるんだけど、そういう中で新しい自分に折り合いをつけながら、みんな日々暮らしてるわけです。

だから、しんどいことがあったり、新しい何かに出会いたかったリ、自分にとってなんか変化が必要なときは、引越しをしてみるのは良いことかもしれませんね。 

なにもほんとに引っ越さなくても、自分のなかではっきりとポジショニングを変えてみるということなんですけど。

大きめの引越しでも、ちょっとした小さな引越しでもいいから、なんか新しい環境に自分をおいてみると、なんか今までと違ったことが起きることもあるかもしれません。

 

サツキとメイはトトロに会っちゃったわけだし。

 

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