市川さんへ
私は、市川さんが昨年9月に、すでにこの世からおさらばされたことが、
未だに信じられずにいます。
このところ、ご無沙汰していたこともありますが、
テレビには、相変わらず市川さんが作ったCMがたくさん流れていますし、
お見かけしないときは、また映画の撮影をしたり、編集をしたり、企画をしたり、
脚本を書いたりされているのだろうなと思っておりましたから、
なかなか実感がわかないのであります。
12月には、ものすごくたくさんの方がお集まりになって、
椿山荘で「お別れの会」が開かれましたが、
映画市川組のメインスタッフの方々が、ズラッと並んであいさつをされている風景は、
何か大きな映画の賞を受賞されたお祝いのパーティーと、錯覚してしまいそうでした。
市川さんの大好きなスイトピーに包まれた遺影は、良い顔をされてましたね。
盟友のカメラマン、広川さんが撮られた写真でした。さすがです。
そういえば、昔、市川さんの映画に、ある役の遺影で出演させていただいたことを思い出しました。今となっては、ただ懐かしい思い出です。
年末に、遺作となった「buy a suit スーツを買う」を観せていただく機会を得ました。
市川さんが逝ってしまわれたあと、仕上げの途中だった映画を完成させた助監督の方と、
主演女優さんと、市川さんの事務所の方と一緒に観ることができました。
そのあと、みんなで晩御飯を食べながら、ずっと市川さんの話をしていたら、
市川さんはほんとに、もういらっしゃらないんだなという気がしてきて、哀しかったです。
「buy a suit スーツを買う」は、とてもよい映画でした。
映像表現に、今までにない新しい試みがあふれていました。
きわめて実験的だけど、それでいて市川さんの映画のトーンが、守られています。
心に残る映画でした。
新しい手法を発明して、それに手ごたえを感じながら、映画監督としてワクワクしながらこの映画を作ってたんだろうな。
皆さんの話を聞いていて、そのことがとてもよくわかりました。
新しい仕事に、CMでも映画でも、いつも貪欲で、寝る時間がなくなっても、
何より楽しそうにものを作る人でした。
勇気づけられました。たくさん助けてもらいました。教えてもらいました。
同じ時代に、同じ業界に、いられたこと、、
CMも映画も、市川さんの仕事に少しかかわれたこと、うれしかったです。
いつか、そちらでお会いできたら、また付き合ってくださいね。
市川準監督 追悼上映 3/21(土)~27(金) 渋谷ユーロスペース
コメント