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2024年6月29日 (土)

歳月ということ

6月の中頃に、偶然3日続けてちょっとしたパーティーがありました。
1日目の会は、長いこと公私共にお付き合いいただいてる4人の先輩たちが、不定期に集まるrednoseの会というワインを飲む会でして、その都度テーマを決めてワインを飲んでいます。たぶん始まってから40年くらいは続いているのですが、「君も来なさい」と言われて私が加わってからも、もう10年以上経っております。今回は焼肉とワインというテーマでしたが、この先輩方の探究心には驚くばかりで、この日のお店も、持ち込んだワインもカンペキでありました。なんと云っても、一緒にいるだけで楽しい方たちでして、この日もすっかり酔っ払ってしまったようなことです。
2日目の会は、これも40年はお世話になりました、私たちの業界の大先輩のKさんの80歳のお祝いで、傘寿のお祝いとも言いますが、後輩たちが10名程集まって、サプライズのお誕生会をやったんですね。とある有名なフレンチレストランの個室でのランチだったのですが、ずいぶん前から計画しておられた幹事さんの手腕で素晴らしいお誕生日になったんです。
Kさんにお会いしたのは、私が業界の右も左も分からなかった頃でして、すでにアートディレクターとしてたくさんの有名な仕事をされていたこの方は、雲の上の存在でした。その後もその広告会社の要職を歴任され、私も含めこの会のメンバーは長いこと大変お世話になりました。退職されてからも、いつも気軽にお付き合いくださり、よくお会いして遊んでもいただきまして、皆から慕われている方ですから、80歳をお祝いしましょうということで集ったわけです。何だかふわっと幸せな会でしたね。
そして、3日目は、新宿デラシネ45周年パーティーという会でして、私が20代の頃から散々お世話になった新宿三丁目のスナックが45周年を迎えたという祝宴です。
しかし、45年の歴史というのは大変なもので、ずいぶん広い会場にギッシリと、このお店に関わった人たちが集まっておりまして、当然ながらたいていは、おじいさんやおばあさん達なのですが、よおく顔を見ていると、わかる人はわかるわけで、あっという間に何10年も前に連れ戻されます。ほんとに、お元気で何よりとはこの事なのです。
そんなことをしていると、急にママのフミエさんから、何かしゃべれと云われて、マイク持ってしゃべったのですが、要は、私はこのお店が45年前に開店パーティーをやった時に、20代の末席の若造でしたが、すでにそこにおりまして、先輩達がカウンターにこぼした酒を拭いたり灰皿交換したりしてました、その頃は金もないのにずいぶん飲ましていただきありがとうございました、45年経ってこうやっていいジジイになりましたが、みたいな話で間をつなぎました。
いずれにしても、新宿の片隅の地下にある小さな飲み屋に、いろんな人が出たり入ったりしながら、45年もの月日が流れ、その人たちが、またこうして逢えたというのも、めでたいことだなとつくづく思ったんですね。
宴も酣(たけなわ)となったころ、お店の常連でジャズサクソフォーン奏者の坂田明さんが、見事な演奏をしてくださいました。「見上げてごらん夜の星を」と「太陽がいっぱい」は、胸に沁みわたり、そして、たっぷりと聴かせていただきながら、過ぎていってしまった時間を反芻したのでした。

Sakatasan

にしても、偶然3日間続いた3つの集いは、歳月というものをつくづく考える時間になりました。それも半世紀近いものすごく長い時間です。今回お会いしたみなさんの初めて会った頃の顔が浮かんだりしました。若いです。
そして、どの会も、元気であればたぶん顔を出されたであろう、今はもう会うことのできない顔が、いくつか浮かびました。歳月というのは、そう云った意味では切ない側面もあります。
次またいつお会い出来るのか、やや心細くもなってくる年齢ではありますが、またどこかでお会いしたいものです。

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