2023 プロ野球日本シリーズ観戦記 その2
タイガースは,38年前に日本一になってから,今回の優勝までに2度のリーグ優勝をしてるんですが,2度ともパ・リーグに敗れ日本一を逃しております。2003年のダイエー戦,この時は阪神が3勝2敗で王手をかけた第6戦,私,意を決して阪神ファンの友人と博多まで行ったですよ。しかしながら,その夜,早々に先発の伊良部は打たれ,逆王手をかけられてガックリ。モツ鍋を食べていたら,まわりのダイエーファンの人たちに、博多弁で慰められたりしまして,翌日は東京におりましたが,ダイエーの勢いそのままに敗れてしまいました。2005年は,このブログにも書きましたが,悪夢のロッテ戦は1勝もできずに散りました。
この2005年から18年経ち,巡ってきたチャンスではありますが,なんせパ・リーグの壁は厚く,まあ祈るような気持ちだったですよ。しかしながら,勝負事は蓋を開けてみなきゃわからないし,ともかく先に4つ勝てば良いという短期決戦なんで,選手も監督も悔いのない戦いをして欲しいっと。
戦前の予想,多くの野球評論家たち曰く,タイガースもオリックスも投手力の高い守りのチームであり,最後まで低い得点での接戦となるであろうとのことで,たしかに両チームの強力な投手陣はなかなか打ち崩せそうにありません。
ところが,始まってみると第1戦,今や球界のエースと云われ,間違いなく来季は大リーグで活躍しているであろうオリックスのエース,山本由伸が5回までに7点取られてしまうんですね。この阪神5回の攻撃で4点を挙げるきっかけになったのが,先頭打者佐藤のセンター前ヒットではあるんですが,この佐藤が次の打者の1球目に盗塁を決めるんです。岡田監督は盗塁のサインは出したけど,初球から行くとは思ってなかったと云ってますが、このプレイでピッチャーはちょっとリズムを狂わせ始めるんです。守っては村上投手絶好調で8−0のワンサイドで阪神が勝利します。
なんだか思いもかけぬ展開で先勝,でも,翌日はオリックスの二人目のエース宮城が立ちはだかり,後半も自慢の中継ぎ投手陣にかわされ,第2戦は0−8で阪神完敗です。
戦前の予想とは大違いの大差の1勝1敗から,舞台は京セラドームから目と鼻の先の甲子園へと移ります。
第3戦は,阪神伊藤とオリックス東の投げ合いで接戦,7回に5−1から5−4に追い上げた阪神は,オリックスの抑えの切り札,宇田川と平野に逃げ切られ惜敗。
第4戦は,先発オリックス山﨑福と阪神才木の投げ合いの接戦,その後両チームが繰り出す自慢の投手陣の守り合いで同点のまま9回へ,1アウトから近本が四球で歩きピッチャーのワゲスパックがバッター中野の時にワイルドピッチでランナー3塁となり、中野と森下は敬遠して満塁策,ここで4番大山がレフトへサヨナラヒット打つんですね,いや,家で見てたけど球場が揺れていました。この試合,実は阪神中継ぎ陣は7回8回にオリックスの猛攻を受け同点に追いつかれ,尚も逆転のピンチを迎えますが,ここで岡田監督は,なんと春先から不調でここまで一軍を外れていた湯浅投手をいきなり投入します。このアナウンスに球場はどよめきますが,湯浅はたった一球でセカンドフライに打ち取ってピンチを脱するんです。
これでシリーズは2勝2敗の対になりました。
第5戦は,甲子園での最終戦となります。この試合も阪神は押されます。というか,オリックス先発の田嶋を7回まで全く打てないんですね。田嶋は見ていて絶好調でした。阪神先発の大竹も好調で,ゴンザレスのソロホームランの1点だけに抑えていたんですが,7回に守備の痛いミスが出ます。セカンドに飛んだ打球を中野がエラーで逸らし,その球をライトの森下が後逸してしまい1塁ランナーがホームまで帰って1−0から2−0となってしまいます。このあとライトからベンチに帰ってくる時に森下は,観客席の方を見れなかったと後で語っています。
ところが,田嶋が7回でマウンドを降りて8回表を湯浅がビシッと三人で抑えると,流れは阪神にやってきます。オリックス自慢のセットアッパー山﨑颯一郎から、木浪,糸原連打,近本タイムリーヒットで1点返すと,さっきエラーした中野が送りバントを決め,ピッチャーは宇田川に変わります。ここで先程チョンボした森下がなんとタイムリースリーベースを放って逆点します。この時,多分、森下と岡田監督は泣いてました。この後も打線は止まらず打者一巡の6点,試合を決めます。
そして京セラドームに戻って第6戦,オリックスは2度目の大エース山本由伸を立ててきます。今度は,全く歯が立ちません。1−5,村上も悔し涙です。
さあ,泣いても笑っても第7戦,勝った方が日本一です。
オリックス先発は第2戦で手も足も出なかった宮城,阪神は青柳です。ここまでの流れを考えると,オリックスは前回宮城が万全の投球をしているし,青柳は本来のエースではあるけれど,今シーズンはもう一つ調子がよくありません。正直不安ではあり,多分、先取点を取られると苦しくなるだろうなと思いました。
そして,3回までどちらも引かない展開から,4回森下のヒットと大山の死球で1塁2塁,次のノイジーは宮城の速球に全くタイミングが合っていないように見えました。ところが,一球,裏をかくように投じられたチェンジアップを,見事レフトスタンドに放り込んだんですね,この人。3ランホームランです,宮城の落胆が手に取るようにわかりました。打線は次の5回にも追加点を奪い,青柳もよく頑張って5回の途中から伊藤が相手の反撃を断ち切ります。最後にマウンドにいたのはやはり岩崎,終わってみれば7−1,決着はついたのでした。
この9日間,連日,流れがどちらに転ぶかわからない好勝負でした。手に汗握り熱く応援してクタクタになりましたが,素直に両チームの選手たちに,ありがとうと言いたい気持ちです。
いい試合を見せてもらった。
オリックスも阪神も,それぞれのリーグで他チームを圧倒して来ただけの事はある,完成度の高いチームでした。オリックスは先発の一角にいた山下投手をケガで欠いたり,首位打者の頓宮が骨折して足に鉄板が入っていたり,杉本が足を痛めていたりで,ベストコンディションじゃないところもあったけど,やはり恐ろしく強いチームで,なんせリーグ3連覇ですから。あのちょっとひねくれたこと云う監督は,ちゃんと仕事してるよな。
阪神タイガースもここに至るまでは,なんせ長い道のりでした。金本監督も矢野監督も含めチーム作りに苦労はつきものでしたが,だんだんにチームは強くなって来ました。ともかく,38年前にセカンドを守り5番を打って日本一となリ、今年,全球団の最年長監督として悲願達成した岡田さんには,ちょっとお礼を云わんとね。
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