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2017年11月28日 (火)

風が吹いても痛い病

この歳になって仲間が集まると、まず始めの30分から1時間くらいは、病気とその治療の話になるんですね。それほど深刻な話は出ないけど、まあ当然ながら、身体のあちこち弱ったり傷んだりしてくるわけで、経年劣化というか自然の流れなんです。

そんな中で、けっこうな痛みを伴うのに、あんまり人から同情されない病気というのがあって、いわゆる「痛風」なんですけど、これ同情されないどころか、ともすると失笑苦笑の対象になったりします。何故かと云うと、この病気の原因は、いわゆる暴飲暴食とか、不摂生とか云われていて、酒のみが好きな高価な食材をたくさん食べた時に起こる贅沢病であると、世間からは思いこまれているもんで、発病しても基本的には自業自得でしょと思われちゃうんですね。

その痛風持ちである私としては、ちょっとそれには異議を唱えたいところもあるんですけど、大まかには当たっておるわけなんです。

たとえば、身体丈夫であんまり病気したことなくて、ただ不摂生を繰り返すことで起きる病であれば、あんまり同情されないし、おまけに、「いたたたたたたあ」となると、むしろ滑稽にすら映るんですね。たしかに誰かが発病したという話を聞けば、同情する気持ちもあるけど、かなり興味本位に状況を知りたがるとこはあります。白状するとですね。

どういうふうに痛いかという話なんですけど、多くの場合、それは足首から先のどこか、親指の付け根とか、くるぶしとか、その時によって、その人によって、微妙に違うんですけど、足首の先のどこかに激痛が走るわけです。そして多くの場合、そこが腫れあがります。

それは、風が吹いても痛いというたとえで、この病名が付いたくらい痛いわけですよ。

私事で恐縮ですが、私はたしか40歳くらいの時に、東北の山奥で仕事でロケをしていたときに、初めてその症状が出たんですが、朝からだんだん痛み出した左のくるぶしが尋常でないことになってきまして、椅子から立ち上がれなくなったんですね。周りにいる人たちは撮影中なんで、みんな気が立ってますし、誰もそんなことに気付く人もなく、どうにか傍にあった照明用の機材の棒を杖にして、

「ちょっとひどく足くじいたみたいなんで、病院に行ってくるわ。」

みたいなこと言って、脂汗流しながら車までたどり着いて、幸い右足は痛くもなんともないので自分で車運転して、山の麓の診療所まで行ったんですね。そこのお医者さんは、ただ足首が腫れあがってるんで、捻挫だと思って、丁寧に湿布してくれたんですけど、どう考えても捻挫した憶えもないんですね。その後何日か山の中にいて、毎日酒も飲んでたんですけど、痛いには痛いんだけど、だんだんそのピークは過ぎたみたいで、帰る頃には腫れも少し退いてきたんですね。ただ気になったもんで、東京に帰ってから、年に一度の健康診断してもらっているお医者さんに電話して症状を話したら、

「ああっー、それ、痛風だな、ムカイさんの尿酸値の数値なら、間違いないですねえ。」と云われたわけです。

ここで解説しますと、この先生がおっしゃった尿酸値というのは、血中のある値で、この数値が危険域を超えると、血液中に結晶のようなものができて、これが鋭く尖ったコンペイトウみたいな形をしてまして、どうも足のあたりの血管の中で引っ掛かることによって、血管壁がダメージを受けて炎症を起こし、周囲の神経組織を刺激することで、激しく痛むということらしいのです。

この解説が、専門的に相当いい加減であることはご容赦いただくとして、まあそんな感じなわけです。

じゃなんで、この尿酸値が上がるのかというと、プリン体という成分が多く含まれた食物を多量に摂取すること。たとえば各種レバーとか、白子とか、アン肝とか、カツオ、イワシ、エビだとか、いかにも酒のみが好きそうなものたちを肴に深酒して不摂生してると、覿面と云われています。

そんな事なんで、酒ばっか飲んで、うまいもん食って、遊んでる奴がかかる贅沢病とか云われていて、世間からの同情が薄いんです。

ただ弁解を少しすれば、この病気の原因の一つには、遺伝の影響ということもあって、極めて体質的な病気とも言えるんですね。たとえば、女の人はどんな酒飲みでもかかりませんから。

で、私の周りを見渡すと、結構お仲間はいてですね、私が発病した時も、すぐに相談に乗って下さる先輩は、いろいろいらしたんですね。そして、この痛風にまつわるエピソードというのは、気の毒なんだけど、なんだか小さく笑ってしまうものでして、そういう話がいくつもあるんですが、ためしに一つ紹介しますと。

Kaidan


ずいぶん昔の話なんですが、私の大先輩のY田プロデューサーと、クライアントで出版社のS社のN川さんの話なんですけど、当時、このN川さんはまだ20代であったにもかかわらず、痛風を患っておられ、その日は家で脂汗かいて寝てらしたんですね。そこに、札幌にいるY田さんから電話がかかるんです。携帯もない時代だから仕方ないんですけど、自宅にかかる電話ってかなり、緊急を要するもんではあって、N川さんはなんだろうと思い、2階で寝てたから、痛い足を引きずりながら死ぬ思いして、長い時間かけて階段下りていったそうなんですよ。そしたら、

「あ、どうも、仕事は問題なく進んでます。ところで、今、すすきの大通りにいるんですけど、先週N川さんとロケハンした時、一緒に行ったキャバレーなんですけど、あれ、どの角曲がるんでしたっけ?」

という明るい電話だったそうで、N川さんは静かに受話器を置いたそうです。

云ってみれば、N川さんにとってみれば、災難なんですけど、この話何回聞いても笑ってしまうんですね。

その後、Y田先輩も、見事発病され、私もそうなり、今は、3人で一緒にお酒飲んだりしてますが、どうもこの痛風にまつわる話は、笑える話が多いんですね、なんでなんですかね。

ただ、なめていると大きな病気につながってしまうこともありますよと、主治医からは云われておりまして、

皆さん、体質改善に節制をしなければならんのです、実は、、まじめに。

 

 

 

コメント

いや、痛風は女性でもなりますよ💧
僕の身近な人でなった人いましたから。
やっぱりその人はお酒飲みまくってたし、痛風になりそうな物ばかり食べていたようです。

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