走るということ 2
今年の桜は、本当にパッと咲いたというか、あんまり一分咲きとか二分咲きとかがなくて、蕾から突然花になったような印象でした。なんだか大雪が降ったりして、けっこう寒い冬だったけど、桜には、一日で冬から春にしてしまう力がありますね。すでに冬の記憶は遠ざかっていきます。
でも、今年も、年が明けてから桜が咲くまで、早かったです。そして、去年の桜から今年の桜までも、なんたる早さか。
去年の今頃は、桜並木をもくもくと歩いていました。きっかけは色々あったのですが、やってみるとこれが意外と続いたんですね。だいたい週に3日くらい、歩く距離も少しずつ増えていきました。初めは、4~5kmのコースからでしたが、だいたい1時間で6kmを歩くようになり、だんだん調子が出てきて、7~8kmになってきました。去年も夏は暑かったので、なるべく朝早く歩きました。そのうち秋のよい季節になり、歩きやすくもなってきて、これはひょっとすると一年続くかもしれないなと思えてきました。少し体重も減ったりして、たいしたことないですけど。
そして冬が来ました。しかし、どうもそのあたりから、ちょっと飽きてきたんですね。性格的なことですが、やはり仕様のないことなのでしょうか。一年続いたら、自分を褒めてやろうと思ってたんですが、ちょっと嫌な予感もしてたので、家族や周りの人たちにも、あんまり言ってなかったんですね、大げさには。もうすぐ一年とか。
うーん、これはいかんなとなった時、考えられないことですが、ふとあることを思いついたのですね。ちょっと前の自分には信じられないことですが、
「歩くのに飽きたら、走ってみたらどうだろう?」
ということなんですけど、何かそれくらいのことしないと、多分やめちゃうなと思ったんですね。ただ、走ったとたんに、すべてやめてしまうことも充分に考えられるのですが。
毎年、東京マラソンを完走して、走るごとにタイムを上げている会社のO桑君に、是非走ってみるように煽られていたこともありまして。
ともかくやってみたわけです。これがつらいんですね、ホントに。いや、本当にゆっくり、歩くように走ってるんですけど、歩くのと走るのは全く違うんです。最初に歩いてた5kmくらいの長さをゆっくり走ってみたのですが、だめだ、もうやめようと、何度も思います。この賭けはやはり間違いだったかなと思いました。ただ、目標のコースをどうにかこうにか完走するとですね、何というか不思議な達成感が芽生えるのですよ、これが。一年ちかく歩くのを続けたことで、多少体力もついたのかもしれません。我ながら、驚いたことに、それからちょっとずつ距離を伸ばし始めたんですね。
いまだにつらいです。特に、走り始めてしばらくの間が、一番しんどいです。だけど、後半はちょっとだけ楽になるんですね。今、1時間で8km位はいけるようになりました。調子こいちゃうと、1.5時間で12kmいっちゃうこともあります。
昨日、朝の6時から善福寺川の桜並木をぬけて8kmも走ってしまいました。ジョギング花見ですよ。早起きも、歩くことさえ大嫌いだったこの私がです。若いころはたいてい毎晩どこかの街のバーのカウンターに突っ伏して寝ておりましたのに。
季節は流れ人は変わりました。
でも、どう考えても12kmが、いっぱいいっぱいです。42.195kmという距離がどういう距離か、初めてわかりました。あれを走る・・・・ありえません。
煎餅かじりながら、マラソン中継見て、
「よし、そこで加速するんだ、ほれ。」
などといった態度で、観戦するのはもうやめます。選手の皆さんをもっと尊敬します、今後。
東京マラソンで、毎年タイムを上げているO桑君は、
「今度ハーフマラソンに出てみるといいですよ。」
などと、ニコニコして云いますが、ハーフって20kmですよねえ・・・ありえません。
ホントに今の状態で、いっぱいいっぱいです。ただ、走ったあとは、走ってよかったと思えるんですよ。これ、私にとっては、かつて想像もつかなかったことなわけです。
来年の桜のころは、20kmくらい走れるようになってるかな。
いや、やめよう、バカな想像するのは。ああ、やめよう。
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