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2007年7月 3日 (火)

海ちゃんの思い出

先日、我が家の新たな一員となるべく一匹の子犬がやってきました。のちのちは毛がグレイになるというのですが、今のところ、まっ黒な毛糸のかたまりが移動しているようにしか見えない生後2ケ月のトイプードルです。この春まで住んでいたところは、ペットが禁止だったし、子供たちが小さいときは、彼らそのものが動物のようなものだったので、犬を飼うなどということは考えもつきませんでした。いつだったか、私のある友達が犬を飼い始め、「夜、うちに帰ったときに迎えてくれるのは、アイツだけだ。」といっていたのを思い出しました。そんなこともあって、引越しを機会にそういうのもいいかなと思い、子供たちと盛り上がり、いくぶん慎重な妻を説得し、ここにいたったわけです。 

ふと、前に犬と暮らしたのは、いつだったかなと記憶をたどったところ、海ちゃんという犬がいたことを思い出しました。学生の頃、多摩川の河原で出会い、後を付いて来たので学生の共同アパートで飼いはじめました。はじめ誰かがオスだと云い、カズマと命名され、しばらくしてメスであることがわかり、海ちゃんと名付けられました。

何せ貧乏な学生たちのこと、首輪も犬小屋もなく、放し飼い状態。ゴハンも1日2食が、なかなかもらえず、腹をすかしていると、親切なご近所のおばさんに残り物をいただいたりしておりました。そんな日がどれくらい続いたでしょうか、子犬から少女犬くらいになった頃、海ちゃんは家出を決行しました。こんなところにいたら先の望みはない、こいつらはダメだと思ったのでしょうか。向上心を持ち合わせていた彼女は、アパートを去りました。

Umi_3 さて、それからまた数ヵ月後、隣町の商店街で、私はりっぱに成長した海ちゃんと出会ったのです。ちゃんと首輪をつけて、優しそうなご婦人に連れられていました。ご婦人は八百屋で買い物をしていました。「おい、海じゃねえか。」5メートルくらい離れていましたが、まちがいなく海ちゃんでした。海ちゃんは私を見たあと、ちょっと困った顔をして、スッとご婦人の足元に隠れました。無理もなかったと思います。

うちの子犬は、マリンちゃんと名付けられ、一日2食モリモリ食べて走りまわっています。今度はちゃんと育てねば。

2004/12

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