SIXTH SENSEという映画を思い出した
この前、ハリウッドスターのブルース・ウィリスが失語症になって、映画の出演ができなくなリ、俳優を引退したというニュースに驚いたんですが、調べたら、この人が私と同い年だったもんで、わりとショックを受けたんですね。
ブルース・ウィリスをスターダムに押し上げたのは、1989年に公開された「ダイハード」でしたが、これが娯楽アクション映画として、非常によくできていて、世界的に大ヒットしました。「ダイハード」はシリーズ化もされ、その後コンスタントに彼の主演映画はたくさん作られ、とても全部は観れてませんが、個人的には「パルプ・フィクション」とか、好きな映画もいろいろあったんです。アクション映画のタフガイのイメージで、日本でもずっと人気のある人で、思えば色々なCMにも出演していて、それはごく最近まで続いていました。
そんな中で、1999年の映画「シックス・センス」は、彼の映画にしては、あんまりアクションのないシーンとした作品だったんですが、これはなかなかの名作でして、ずいぶん話題にもなりヒットしました。「シックス・センス」とは、直訳すると第六感ということになるのですが、人間の五感に次ぐ感覚で、映画の中では霊感を指しています。
ブルース・ウィリス演じる、小児精神科医のマルコムの前に現れた少年コールは(これを演じている天才子役のハーレイ・ジョエル・オスメントがまた上手いんですけど)、死者が見えてしまう自身の第六感のことで悩んでいます。当初は幽霊の存在に懐疑的だったマルコムも、やがてコールの言葉を受け入れるようになり、死者がコールの前に現れる理由を共に探り始めます。この物語にはいくつかの展開の後、観客の予想しない意外な結末が待っているんですが、映画として実によくできていて最後まで引き込まれます。
監督のM・ナイト・シャマランの脚本も演出も見事で、この手の映画にありがちな観客を派手に怖がらせたり驚かせたりといった技法はほとんど使っていないんですけど、なんだかジワーっと静かに恐怖が忍び寄る映画になっているわけです。
この映画は、会社帰りに渋谷の映画館で、その日の最終回を観たんですが、自転車通勤で出社してた日で、映画が終わった後の寒い夜に、誰もいない真っ暗な世田谷・杉並あたりの裏道を自転車で走って帰るのが、えらく怖かったのを覚えています。
この映画は、たくさんあるブルース・ウィリスの仕事の中でも、記憶に残る名演だと思います。
シックス・センス(第六感)とは、ヒトに備わる、視覚・聴覚・臭覚・触覚・味覚という五感の次の感覚で、異様な直感力の意味で使われます。人にはそれぞれ、その人にしか感じられないこのような感覚があるのかもしれません。これらの感覚にはすごく個人差もあるし、時と場合によっても敏感だったり鈍感だったりしますが、いずれにしても生まれつき与えられた機能なんですね。
最近ではコロナウイルスの後遺症で味覚や臭覚に異常をきたす現象も起きましたが、感覚やその機能は、何らかの要因で強くなったり弱くなったり、また、失ったり再生したりします。ある感覚が弱まると、別の感覚が補うように鋭くなることもありますね。
そんなこと思いながら、ブルース・ウィリスという役者が、言葉を発するという能力を無くしてしまったということには、不思議な哀しさがありますが、なにか新しい感覚が目覚めるように、その機能が再生することに、期待しないわけにはいきません。
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