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2016年3月17日 (木)

断酒・その後

報告ですが、2月1日から29日までの1ヶ月、何とか禁酒することに成功しました。

出来るかなあと思っておりましたが、途中で挫折することもなくです。終わってみると、へえ、意外とやれちゃうもんだなあと思いましたが、やっぱり1ヶ月は長かったですね。

ひと月ぶりに飲む酒は、確かにうまかったし、同志AZさんと健闘をたたえあった酒は10時間にも及びましたが、なんか特殊な暮しから、もとの暮らしに戻ったようなことで、意外と淡々としたものではありました。

やめてる間は、なるべく酒のことは考えぬようにして、夜、人と会食することは極力避け、酒が飲みたくなるような食べ物も極力避けて、過ごしておりました。

飲まないと、眠れなくなるんじゃないかという心配があったんですけど、それは杞憂でありまして、むしろよく寝れて身体も休まり、とりたてて禁断症状に苦しむということはなかったです。

ただ、日が暮れると酒呑みたくなるのは、長年の条件反射でして、それをあえて当り前のように飲まないでいるというのは、けっこう大変なことでしたね。なんかこう、間がもたないわけですよ。普段、いかに酒呑みが、酒呑んで時間をつぶしているのかがよくわかります。これにかわる新しい過ごし方がすぐに見つかるのでもなく、飲まなきゃ晩御飯もすぐに終わっちゃうし、急に夜の街を走るというのもなあ、この時期寒いしなあ。やはり月並みですけど、本を読んだり、映画を観たりということになるのかな、と思ったわけです。

そこでいろいろと、本屋を物色したり、アマゾンで注文したり、映画をipadに取り込んだりと、準備はしておりました。でも、映画観るのも、本読むのも、その気になればわりと早くできちゃうし、なんか、冬眠する時に食糧ため込むような気持ちになると、1ヶ月ってずいぶん長く感じるんですよね。

そんな時、ふと、そうだ「鬼平犯科帳」 24巻だ。と思ったわけです。まあいつかは読もうと思ってはいたんですけど、この小説は1967年から1989年まで連載されたもので、全135作ありまして、かなりの分量は分量だし、きっかけがないままだったんですが、この断酒1ヶ月にはうってつけだなと。

で、「鬼平犯科帳」ですが、おもしろいです。さすが、長きにわたって多くのファンを持つこのシリーズ、エンタテイメントとしてよくできてるんですよ。一話一話は文庫本が50ページくらいで完結してるんですけど、お話はいろんな要素が微妙につながっていて、ひとつの世界ができております。実に様々な登場人物が出てくるんですけど、それぞれにきちんとキャラクターが描かれており、何だか似たような話かなと思うと、全然違っていて、意外な展開が待っておりまして、池波正太郎先生、成るほど達人でいらっしゃいます。

あれよあれよという間に、10巻ほど読んでしまいまして、まだ14巻もあるのですから、これはなかなかに、良い思いつきだったんですが、ただ強いて言うと、ひとつ問題がありまして、ここに出てくる長谷川平蔵さんはじめ、この江戸の街の人たちが、けっこう酒好きなのですね。そして、実にうまそうに飲むんですよ。ストーリーの中で、よく張り込みをしたり、密会したり、待ち伏せをしたりするんですけど、そういう時、実に都合の良い場所に居酒屋や屋台や蕎麦屋があります。それと長谷川平蔵の役宅に人が訪ねてくると必ず酒を出しますねこの人。そういうシーンで、別段、贅沢なもんじゃないんですけど、ちょっとした肴をあてに飲む酒というのが本当にうまそうで、禁酒してる身にはこたえるわけで、その都度閉口しておりました。

そういうせいでもありますが、同志AZさんと、断酒明けはどこで何を飲もうかという話になった時に、

「昼間から蕎麦屋で、野沢菜に炙った鴨で、冷や酒。」

ということになりました。人の欲望は、わかりやすいです。

 

ただ、私的には1ヶ月の禁酒というのは、大変なことだったわけで、その成果というのが知りたくて、人間ドックを受けたクリニックに行って再度血液検査してもらったんですね。そしたら、禁酒した効果は確かに出ていますが、根本的な問題は解決されてないので、引き続き節制してくださいとのことでした。

考えてみると、そりゃそうだよな。この何10年にも及ぶ不節制に対して、たかが29日間酒やめたからって、物事が画期的に変わるということもないですよね。

そして、この1ヶ月の体験が何をもたらしたかというと、一応酒やめることは、いざとなればできるかなということと、とにかく、ただの習慣だけで毎日酒飲むのはやめたほうがいいなということだったでしょうか。

初めての経験ではありましたが、自分はやはり酒が好きなんだなということも、よくわかりました。ただ、いい歳なんだし、身体のことも考えて、これからは酒といい付き合いをしなきゃと、ちょっと殊勝なことを思ったり、少しそういうこと考えたわけですね。

 

しかし、長谷川平蔵は、歳のわりに飲みすぎとちゃうかなあ。

Onihei

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