昭和の唄 みんな去ってしまった
えーと、数え間違えてなければ、このブログが今回ちょうど200本目になるはずでして、だからどうということでもないのですが、思いのほかに続いたもんです。
この前、わりと長くこれを読んでくれてる人に、
「このブログは、人が亡くなる話が多いですね」
と云われたんですが、考えてみると、そういうとこあるかなと思いますね。私が50になった時に始めて、50代と60代に書いたものですから、振り返ってみると、ご恩のある身近な人も、多くの影響を受けた著名な方も、大切な友も、本当に多くの方々が向こうの世界に旅立たれてしまいました。そのことだけ書いてるわけじゃないんですけど、年齢的にも、若い時よりもいろんな意味でお別れの話は増えます。
それで、たまたま持っていた「みんな去ってしまった(みんないってしまった)」という題名の、古いレコードアルバムを思い出したんですね。これは1976年に中島みゆきさんが出した二枚目のアルバムです。
この年齢になると、いろんな人たちが、まさに、みんな去ってしまうわけでして、多くの別れや、その人にまつわる記憶が去来します。
このアルバムを聴いた時、それにしても若いのに随分すごい詩を書く女の人が現れたもんだなあ、と思ったもんでした。さわりですが、たとえばこんな唄がありまして、
彼女の生き方
酒とくすりで 体はズタズタ
忘れたいことが多すぎる
別れを 告げて来た中にゃ
いい奴だって 居たからね
死んでいった男たち
呼んでるような 気がする
生きている奴らの
言うことなんか 聞かないが
彼女の人生 いつでも晴れ
そうさあたしは タンポポの花
風に吹かれて 飛んでゆく
行きあたい町へ 行きたい空へ
落ちると思えば 飛びあがる
のような唄なんですが、当時ある意味とんがっていたのでよく覚えてまして、それから50年経ちましたが、ご存知のように、彼女は今アーティストとしての牙城を築いておられます。
想えばあの頃、いろんな唄がありました。個人的には1977年頃から10年くらい、毎年、秋から冬の終わりにかけて、地方ロケに行く仕事をしておりまして、日本全国、北海道から沖縄まで、多分、もう二度と来ることなさそうな辺境ばかりに行っておりましたが、その都度わりと長く滞在するもので、退屈して他にやることがなくなると、当時、地方で流行り始めていたカラオケをやったんですね。思い出してみると、初めの頃は駅裏の盛り場のスナックや居酒屋とかで、そもそも8トラックのおもちゃみたいな機材でした。そのうちだんだんにPAも進化してくるんですけど、なんかすごいスピードで広がっていった気がします。始まった頃は演歌ばっかしでしたが、ジャンルも曲数もどんどん増えていきましたね。いずれにしても、カラオケって娯楽は、地方から始まったもんでした。
そんなことで、あの10年間はよく唄ったものなんですが、時代としては昭和の最後の10年でして、当時のなつメロも含めて、別れをモチーフにしたいい曲はたくさんあったんです。と言うかあの時代の流行り唄の大半は別れを描いてたと言うと言い過ぎでしょうか。
ということで、思いつくままに、昭和の唄をいくつか。
戦争は知らない (1968)
詩 寺山修司 唄 ザ・フォーク・クルセダーズ
野に咲く花の 名前は知らない
だけど 野に咲く花が好き
帽子にいっぱい 摘みゆけば
なぜか涙が 涙が出るの
戦争の日を 何も知らない
だけど私に 父はいない
父を想えば あゝ荒野に
赤い夕日が 夕陽が沈む
冬のリヴィエラ (1982)
詩 松本隆 曲 大瀧詠一 唄 森進一
彼女(あいつ)によろしく 伝えてくれよ
今ならホテルで 寝ているはずさ
泣いたら 窓辺のラジオをかけて
陽気な唄でも 聞かせてやれよ
アメリカの貨物船が
桟橋で待ってるよ
冬のリヴィエラ 男って奴は
港を出てゆく 船のようだね
哀しければ 哀しいほど
黙りこむもんだね
大阪で生まれた女 (1979)
曲唄 BORO
踊り疲れた ディスコの帰り
これで青春も 終わりかなとつぶやいて
あなたの肩をながめながら
やせたなと思ったら 泣けてきた
大阪で生まれた女やさかい 大阪の街よう捨てん
大阪で生まれた女やさかい 東京へはようついていかん
踊り疲れた ディスコの帰り
電信柱に しみついた夜
星屑の町 (1962)
詩 東条寿三郎 曲 安部芳明 唄 三橋美智也
両手を回して 帰ろ 揺れながら
涙の中を たったひとりで
やさしかった 夢にはぐれず
瞼を閉じて 帰ろ
まだ遠い 赤いともしび
指笛吹いて 帰ろ 揺れながら
星屑わけて 町を離れて
忘れない 花のかずかず
瞼を閉じて 帰ろ
思い出の 道をひとすじ
両手を回して 帰ろ 揺れながら
涙の中を たったひとりで
落陽 (1973)
詩 岡本おさみ 曲唄 吉田拓郎
しぼったばかりの夕日の赤が
水平線からもれている
苫小牧発・仙台行きフェリー
あのじいさんときたら
わざわざ見送ってくれたよ
おまけにテープをひろってね
女の子みたいにさ
みやげにもらったサイコロふたつ
手の中でふれば
また振り出しに戻る旅に
陽が沈んでゆく










