だるまのはなし
昨年の12月から今年の2月まで約3ヶ月間、横浜の放送ライブラリーというところで、「山田太一上映展示会」というのをやっているよ、と教えてくれた人が二人おりまして、私を含めてこの人たちは、この脚本家の大ファンで、以前からたまに何人かで「山田太一を語る会」という飲み会をやったり、先生がご存命の頃は講演会や座談会を聴きに行ったりしてたんですが、さすがのアンテナというべきか、今回の催しのことを察知して教えてくださったんです。
展示会の期間も終わりかけた頃に急いで行ったんですが、たくさん名作を残された方でしたから、かなりきちんと整理された大量の展示物があって、あらためてこの方が積み重ねられた足跡に、ため息の出る思いがしました。
よく知ってる作品も、あまりなじみのなかった作品も、どれもこの作家の背骨が一本通っている気がします。どの資料も時間を忘れて読んでおりましたが、山田さんがいろんな方とやり取りをした手紙のコーナーがあって、それは特に興味深いものでした。
大学時代からの親友であった寺山修司さんの存在であったり、八千草薫さんの手紙は、文面もインクの色までも可愛らしさが溢れていたり、大原麗子さんは見事な達筆で、ものすごくきちんとした文章を書かれておられたり、、いろいろに発見がありました。
その中に山田さんのお父さんからの手紙もありました。エッセイなどを読んでいると、このお父さんは、戦中戦後の大変な時代を、苦労を重ねて家族を養ってきた人で、息子の山田さんに対しても、語る機会あれば、人が生きていくことの厳しさを教えるような父として描かれていたんですが、多分この手紙が書かれたのは1966年頃で、ご自身が老齢にさしかかった時分に、成長した息子を嬉しく見つめる視線を感じます。山田さんがテレビドラマの脚本を書いた初期の頃の作品を、テレビで観て褒めていまして、その最後の方に、「ところで、だるまを送ってくれてありがとう」という一文があります。
「だるま」というのは、僕らが子供のころに大人たちが、サントリーオールドのことをそう呼んでいたんですね。ウイスキーなんですが、あの丸っこくてずんぐりしたボトルのフォルムからきてるニックネームだと思います。私が物心ついた頃にはすでにそうでして、そして、今よりもずっと格が上のウイスキーだった気がします。山田さんは頑張ってお父さんにちょっと高級なウイスキーをプレゼントしたんですね。
あの頃、流れていたサントリーオールドのCMで、覚えているのは、セピア調のナイトシーンで世界中の大人の男たちがオールドを飲んでいて、不思議な歌が流れてました。これは名曲でしたが、調べてみると、1968年に最初に放送されたバージョンは、かつて壽屋宣伝部の開高健が考えたキャッチコピー「人間みな兄弟」からのインスピレーションで小林亜星が作曲したもので、ギターの伴奏による男性のスキャットでした。
まだウイスキーを飲む大人の世界はよくわからなかったけど、なんだか早く酒を飲む世界に入ってみたい気分があって、たぶんあのCMのせいじゃないかと思うのですね。
それから、だんだんに大人に近づいていくんですけど、その頃も、サントリーのウイスキーのCMというのは、お酒というものの世界を魅力的に描いていました。未成年でしたけど、東京に出てきてウイスキーを飲む仲間入りを始めるんですが、オールドは高価だし、とても手が出なかったです。
成人して社会に出てからも、酒は飲んでましたが、安酒ばかり飲んでいました。大人の男たちは、会社帰りに最寄りのBARで飲んで行くんだけど、そういう時、ボトルキープされているのは、この「だるま」であることが多かったと思いますね。たまにご馳走になると、うまかったなこれが。
「だるま」は大人の男の酒で、格のある最もポピュラーなウイスキーだったですね。
今オールドは、あの頃よりもずっと気楽なランクのウイスキーになっていますから、たまに買ってきて飲んでますが、そばに置いてその変わらないボトルの形状を眺めていると、あの不思議な旋律のスキャットが聞こえる気がします。
「夜が来る」
🎵
Lon Bon Di-Don
Shu Bi Da Den Ba
O-de e e eoh
Hi Za
Dan Zan Di-Don
Shu Bi Da Den Ba
A Don Zon Ju-Bi Da Don
Don Don Di-Bon
Shu-Bi Da Dou Ba
La-Li Ho Ra Re
Hey Za
Don Zan Dig Zag
Shu-Bi Da Don Ba
A Don Zon Ju-Bi Da Don
Don Don Di-Don
Shu-Bi Da Den Ba
Li-ro I-ro Re
Hey A
Don Zon Zi Da Ba
Shu-Bi Da Ban A
A Dan Zan Ju-Bi Da Den Ba
A Zan Dan Ju-Bi Da Ze










