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2026年2月 6日 (金)

大学生の頃を思い出したテレビドラマのこと

映画が封切られた時に、観に行こうかどうしようか迷っていたのですが、ちょうどその日に用事があって、日比谷まで出かけたもんで行ってみたんですね。そうすると映画館は私くらいの年齢の方々が、びっしり座っておられました。
約50年前に「俺たちの旅」というテレビドラマがあったんですが、その半世紀後の現在を描く映画です。
テレビ放送は、1975年の10月から約1年間、日曜の夜8時からでしたが、その時、私、大学生で、3年生から4年生にかけての頃で、落第しそうだったもので、仕方なくですが、珍しく冬にはわりと勉強してまして、ま、他にもいろいろあって下宿にいることが多くてですね、このテレビドラマは時々見てたんです。自分と同年代の大学生たちが主人公で、感情移入しやすかったこともありますけど。
鎌田敏夫さんという脚本家が、描こうとしていることが、時々こちらにフィットしたのかもしれません。連続ドラマなのだけど、これといってつながってるストーリーがあるわけではなく、たまに見るといつも同じようで、自分と同年代の若者が、これといったビジョンもなく、フラフラとその場しのぎに生きていて、その時その時に出会う人や出来事で、いさかいが起きたり、仲良くなったり、失恋したりと、毎回いろんなことになるわけですよ。

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この時期は、もうすぐ4年生に進級するんで、私の周りでは就活が始まっており、えらい就職難の年でしたし、なんだか重苦しい空気でした。勉強は苦手だったし、卒業して世の中に出たら、どんなふうに生きていくんだろうか、全くよく見えてなかったし、中には見えてる人もいたけど、個人的には、ただ漠然と日々を送っておりました。そうすると、このドラマの主人公たちも、日々そんなふうで、ああ、こういうのもありかなと思ったら、ちょっと楽な気分になったんですね。
ただ、そんなふうに無気力で刹那的なドラマかといえば、そういうことでもなく、ちゃんと元気が出る青春ドラマみたいなとこもあって、なんとなく自身と比べながら、中村雅俊さんをはじめとしたキャストたちを応援してるところもあったかもしれんです。そういうことで、その間、毎週真剣に観てたわけじゃないんだけど、なんかちょっと身近な存在にはなってたんですね。
映画になったからかもしれませんが、1975年に放送されていたこのドラマが、最近またBS日テレで再放送されていて、10年後の1985年と、20年後の1995年にスペシャルドラマも作られていたことも知りました。根強い支持のあるシリーズだったんですね。 
今回の映画は、50年後の現代に、彼らがどうなってるかみたいなお話です。
もう、そうなると映画の出来がどうこうということじゃなくて、あの若者たちが50年の時を経て、ここにどんなふうにいるのかということを確かめたくて、みんな映画館に集まって来てるようなところがありました。いずれにしてもなかなかないことではありますね、半世紀だし。

このドラマの記憶を探る時、まず浮かぶのはテーマ曲でして、オープニング曲もエンディング曲も、このドラマの気分に寄り添っていて名曲なんです。主演の中村さんが唄っていますが、作詞作曲は小椋佳さんです。
ますます古い話になって恐縮ですけど、高校生の時、音楽聴くのは、家にプレーヤーもアンプもがなかったから、ラジオとカセットテープでしたが、その頃、小椋佳という歌手は、地味に現れてきたんですね。自分で曲を書いてるみたいで、なんかいいなと思ってたんですけど、「彷徨」というアルバムがけっこう評判になって、少しずつ話題になっていきました。歌詞も曲も静かなんだけど、なんかはっきり作家性を感じる強さがあると思いました。そして、1975年に「シクラメンのかほり」という曲が大ヒットします。1976年には、資生堂のCMキャンペーンソングとして「揺れるまなざし」が、街中で流れていました。
だんだん頭角を現してくるこの人は、けっこう謎の人で、そのうち、実は銀行マンで、それも東大出のエリート行員だということがわかってきます。少し遡りますが、高校の時にラジオにこの方が出演されたことがあって、そのことを知ったんですけど、その時、とても感じのいい青年で、でもとてもかしこそうで、あの歌たちを書きそうな人で、声がめちゃ二枚目で、いっぺんに好きになりましたが、はたしてどんな顔した人だろうかと想像してたんですね。そして何年かしてテレビに出られた時に、勝手に思ってたのととてもギャップがあったのを覚えてます。
それからも、次々に曲を生み出し、ヒットも飛ばし、アルバムも売れ、着実な音楽活動をしながら、49歳までエリート行員の仕事も両立されたそうです。シンガーソングライターだけど、楽譜を書き起こせなくて、ギターのコードを弾きながら書いた詩を口ずさんで曲にして、カセットに録音するという手法で、あれだけ名曲作っているのは驚きでしたが。

「俺たちの旅」

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夢の坂道は 木の葉模様の石畳
まばゆく白い 長い壁
足跡も影も 残さないで
たどりつけない山の中へ
続いているものなのです

夢の夕陽は コバルト色の空と海
交わってただ 遠い果て
輝いたという 記憶だけで
ほんの小さな 一番星に
追われて消える ものなのです

背中の夢に 浮かぶ小舟に
あなたが今でも 手を振るようだ
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「ただお前がいい」

ただお前がいい
わずらわしさに なげた小石の
放物線の軌跡の上で
通り過ぎてきた
青春のかけらが 飛び跳ねて見えた

そのくり返しを
そのほほに写してた おまえ
また会う約束などすることもなく
それじゃまたなと別れるときの
お前がいい
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