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2025年1月10日 (金)

ある日の映画館で沁みた荒木一郎

昨年の12月に、映画を一本観に行ったんですね。それは、うちの会社で制作しているTVCMに出てくださり、お世話になっている女優さんが出演されてる作品だったからでして、何となく渋谷に出かけて、なんの予備知識も無く観たんですが、これがすごくいい映画で、気が付けば、終盤のあたりで泣けたりしたんです。
どんな風によかったのかと云えば、説明するのがむつかしいのですけれど、普通の日本の現代劇でして、その女優さんのまわりにいろんな人が出てきて、ひとつの悲しい事故が起きるところから、いくつもいろんなエピソードがあるんですが、ここに出てくる人たちが、どの人もほんとにいい人ばっかりなんですね。
そういうような設定って、最近の映画とかドラマとかにあんまり無くて、普段あんまり見かけないタイプの映画なんですが、なんだか終わりが近づくほどにハラハラと涙が出てきたのですよ。
それで、エンドロールの時に流れてる歌を、この女優さんが唄ってらっしゃるんですが、これが実にじんわりと胸に沁みたんですね。この方は、普段あんまり歌とかを唄われている印象がなかったのですが、この歌は詞がこの映画の文脈にも沿っており、彼女の歌声もこの曲にすごくマッチしていてとても素敵な歌でした。
そしてクレジットタイトル読みながらその歌を聴いていたら、ふと
「この歌、知ってるな、オレ」と思ったんですね。
そしたら、エンドロールに曲名と作詞作曲が誰かが、記されていました。

「夜明けのマイウェイ」作詞作曲・荒木一郎

まったく個人的な話ですが、この人が作って唄う曲が昔から好きだったんですね。たぶん私が中学生くらいの頃にけっこう売れた人で、その頃、自分で作った歌を自分で唄う、いわゆるシンガーソングライターという人はまだあまりいなくて、今はそういうのが当たり前ですが、当時は、他には、加山雄三さんがそうだったくらいだったと思います。
加山さんは荒木さんより少し年上でしたが、歌手デビューは同じ頃だったと思います。もともとは映画俳優で、作曲も演奏もできてスポーツ万能で絵も上手で、慶應ボーイで、すごく人気者でした。たくさん名曲があります。同じ茅ヶ崎出身の桑田佳祐さんは、加山さんのことを、ほんとにリスペクトして育ったそうです。世代としては私も桑田さんと同じあたりです。
荒木さんも音楽活動のかたわら、俳優として映画やテレビに出演なさったり、小説を書かれたり、多岐にわたって活躍します。
同時期に音楽活動をして、たくさんのヒット曲を作った二人ですが、加山さんが太陽なら、荒木さんは夜空に浮かぶ儚い月のような印象がありますね。どうも荒木さんは基本的に不良っぽくて、そこが魅力でもありました。
何と云っても、荒木さんのデビュー曲の「空に星があるように」は、詩もメロディも声も忘れられぬ名曲です。この歌に代表されるような、この人の繊細でナイーブなトーンは、そのあと、数々の荒木一郎節を生んで行きます。私は多感な時期に、折に触れてそれらを聴いてたように思います。
ともかくその女優さんのおかげで、年末の渋谷で、ちょっといい映画に出会えて、そして沁みて、奇しくも久しぶりの荒木一郎さんにも会えて、なんだか懐かしい心持ちになったのでした。

Arakiichiro1_2


(歌詞)
悲しみをいくつかのりこえてみました
ふり返るわたしの背中に
まだ雨が光ってます
走っている途中でときおりつらくなって
ふりかえりあなたの姿を
追いかけてみもしました
でも夜はもうじき明けてゆきます
今迄と違う朝が ガラスのような
まぶしい朝が 芽生え始めています

悲しみをいくつかのりこえてきました
ふり返るわたしの後ろに
ほら虹がゆれてるでしょう

だからもうわたしは大丈夫です
今までと違う夢が 次第次第に
心の中にあふれ始めています

もう昨日は昨日 明日は明日
今迄のことは忘れ
花びら色のさわやかな日を
迎え始めています

悲しみをいくつかのりこえて来ました
ふり返る 私の向こうに
青空が見えてるでしょう

だからもうわたしは大丈夫です
今までと違う夢が 次第次第に
心の中にあふれ始めています

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