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2024年5月

2024年5月29日 (水)

ついに黒部に立ったのだ

5月の中頃に家族で旅行したんですけど、これが一泊二日の黒部渓谷、黒部ダムを巡る旅でして、なかなか盛り沢山で、そしてなかなか感動だったのです。少し前に奥さんが申し込んだツアーで娘と私も参加して3人の予定だったのですが、最近急に大阪から東京に転勤になった息子も来ることになり、久しぶりに家族4人で旅することになりました。それはそれで良かったんですけど、朝7時に八重洲口集合みたいな弾丸ツアーの趣もあり、初日はトロッコ列車で新緑の黒部渓谷を満喫し、宇奈月温泉一泊、翌日立山アルペンルートを一気に縦走し、黒四ダムへという一連の流れなのですが、このスケジューリングが実によく出来ており、さすが手馴れたプロの仕事で、元制作部をやっておった私から見ても、よく出来た香盤表でありました。
というような2日間のコンパクトな体験でしたが、この黒部という場所には個人的にちょっと特別な感慨があったのですね。昔も書いたことあるんですけど、私が中学一年生の時に「黒部の太陽」という映画が公開されて、大ヒットしたんですが、これが難攻不落の黒部渓谷に巨大ダムを建設するための、世紀の難工事を描いた人間ドラマでして、背景には戦後復興をかけたこの国の電力問題を解決するという悲願がありました。
当時13歳の少年であった私は、最もわかりやすく感動し、影響を受けてしまい、将来は土木技師になることを胸に誓ってしまったわけです。一応高校を出ると上京して大学の工学部の土木工学科というところに入るのではありますが、ま、いろいろありまして卒業してから土木技師になる事もなく、今の仕事についてしまうわけです。
土木の仕事に就くことは、自身の適性も含め無理だったということはわかっているので、諦めはついているのですが、ことあるごとに、いろんな人に、いかに私がこの映画に影響を受け、黒部という場所にいかにこだわりを抱いているかということを、ある時は酔っぱらったりしてくどくどと語るわけですよ。なので親しい人たちは、そのことはよくご存知ではあるんですね。
そこで、先日、結婚して30年以上経つうちの奥さんから、
「ところで、今までいろんなところに行ってるみたいだけど、黒部には、行ったことあるの?」
と聞かれまして、
「いえ、一度も行ったことないです。近くまで行ったことはありますが」
と申しましたら、心底あきれておりました。少年期のいきさつからも、とっくに訪ねておかねばならぬところでしたのに、、、ということで、家族のおかげで想いを果たせたわけです。
黒三ダムに向かうトロッコ列車は、能登震災の影響で最後まで行けませんでしたが、十分に黒部渓谷の新緑の木漏れ日を浴びることができて素晴らしかった、そして、翌日標高475mの立山駅からケーブルカーと高原バスで急峻な斜面を登り続け、標高2450mの雪の大谷で雪原を堪能し、ここからはトンネルトロリーバスと急降下のロープーウェイとケーブルカーで、標高差約1000mを下って黒四ダムに着きます。
見事なダムです。ああ、これが、黒部ダムなのですね。小雨混じりの曇天に現れた大土木建造物、しばらく眺めておりました。なんていうか、この大自然の中に、人間が叡智を尽くし、7年の歳月と1000万人の手によって造られた創作物なんですよね。
さすがに、奥さんも娘も息子も、えらく感動しておりました。
それにしても、ダムの上から真下の谷底を見ましたら、完全に足がすくみ上がりまして、ああ、この場所を職場にすることは絶対に無理であったなと、あらためて確認したようなことでした。

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2024年5月 9日 (木)

不思議の露天風呂

私が時たま寄せて頂き、お世話になっている信州のトシオさんの山小屋の近くには、温泉がたくさんあって、それも楽しませていただいております。その中でも比較的よく行くところに、「尖石温泉 縄文の湯」(とがりいしおんせん じょうもんのゆ)と云うのがありまして、近くに縄文遺跡があるのでこういう呼び名なのですが、湯量も多くてとても快適で、露天風呂も設けてあります。これがどの季節もなかなかに気持ち良くてですね、行けば露天で長湯いたしております。
先月のある日も、トシオさんとヤマちゃん先輩と3人で機嫌良く浸かっておったのですが、人気のお風呂だし、夕方でまあまあ混んではいたものの、それほどツメツメでもなく、まあゆったりと露天風呂にいたのは7〜8人ほどでした。
すると、その中の一人の知らないおじさんが、と云っても、こちらもよくわからないおじさんではあるのですが、こちらの方をじっと見ておられまして、ついに視線が合います。
「うん?」と思っていると、「ムカイさん?」と、私の名をお呼びになる。
「あっ、イマムラさん?」と、申しましたらば、両方で、
「ハイッ、ハイッ、ハイッ!」となりまして、
そうなんです、この方 イマムラさんという有名な映像ディレクターでして、私とは同年代で、かつて何度か仕事でお世話になっておりました。このところ何年もお会いしてなかったけれど、年賀状などのご挨拶は続いていた方です。そう言えば、この近くのリゾート地の森の中に居場所を移してみますというお知らせはちょっと前にいただいていたんですが、まさか、よりによってこの露天風呂に一緒に浸かっていたとは。いや、お互い驚いて、しばらく風呂の中で4人で盛り上がったようなことです。今回は無理だったのですが、必ずや近いうちにこの森で再会して呑みましょうと約束を交わして別れましたが、それにしても、この時にこの場所で出会う確率というのは、どれくらいのもんだろうかと思ったのですね。
この温泉にはよく来ると言っても、たぶん年に2、3回だし、露天に浸かっている時間は、せいぜい30分40分くらいのものです。そもそもその人がこんなところにいるとは、夢にも思ってないわけですから。
それで、この露天風呂には別の話があって、また思い出したんですが、私3年前の秋に、全く同じ場所、縄文の湯・露天風呂の中で、高校時代の友人に会ってるんです。この人とは、さすがに高校時代以来とかではなく、その少し前に東京で10人くらいの同窓会をやった時に再会はしてたんですが、まさか温泉風呂で会うとは夢にも思っちゃないわけです。
その時も、この人がじっと私を見ているのに気付きます。あちらは4、5人でこちらは3人でしたが、なぜかこの人が私をじっと見ている。で、
「ムカイ?」「コガ?」と、お互い確認し合うまでは、まさかの半信半疑なわけです。見たことある顔だけど、そんなこたあないという気持ちの方が勝つんでしょうか。
私は例によってトシオさんの家に世話になってたんですが、この友人は結構大きな会社の社長をやっていて、部下たちと信州の休日を楽しんでいたようでした。
しかし、びっくりしました。これも確率ということで云えば、ほぼ起こり得ない話ですものね。
こんなことってあるんですねと云うことが、同じ露天風呂で3年間に2回起きたわけで、帰り道にトシオさんが、
「これもう一回あるかもよ。二度あることは三度あるっていうからね」と云いましたけど、
まさかね。でもちょっと、今度は誰かなと期待したりして。

Rotenburo

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