わたしと自動車のこと 余話・ヤマちゃんのシビック
このまえ、車のこと書いてて、いろいろ思い出したことがあって、そのうちの一つなんですけど、最初に就職した会社にある先輩がいて、その人が乗っていたホンダシビックという車のことなんです。当時HONDA CVICって、CMもかっこよくて、ルイ・アームストロングのWhat a Wonderful Worldの歌声が印象的で、若者にすごく人気があったんですね。
この先輩は、皆から親しみをこめてヤマちゃんと呼ばれてるんですけど、私が会社に入って一年くらいは、ほとんど会社で会うことがなくて、たいてい南の島でロケしてるか、そうじゃない時は、個人的にスキューバダイビングに行ったりして、いつも日焼けしてて、基本的にあんまり会社に来ない人だったんです。
ところが、一年くらい経った時に急に呼ばれて、この人の仕事に着くことになり、そのあと、かなりたくさん仕事をさせてもらうことになります。それから、かれこれ35年くらいになりますが、ずっと師弟関係で、いまだに同じ会社で仕事してますから。
それはいいんですが、その頃この先輩ヤマちゃんが乗っていたのが、ちょっとCMのイメージと違うHONDA CIVICつやなし紺色バージョンだったんです。
私はこの人の仕事の助手であり、部下というか子分のようなことなので、このシビックで2人でどっか行く時には、私が運転することになるんですね。
はじめてこの車のハンドルを握った時、ヤマちゃん先輩から、
「えーと、この車、信号待ちとかで停まってるときもアクセル軽く踏んどいてね、そうしないとエンジン止まっちゃうから。」と云われました。
ためしに、クラッチ切ってアクセルから足を離すと、エンジンは止まってしまい、
「いや、だから、右足は常に軽く踏んでなきゃ。」みたいなこと云われ、エンジンを掛け直すことになります。ま、ようするにアイドリングが低すぎるんですね。
まあ、これはやってるうちにコツがわかってくるので、慣れればいいんですけど。
実は、運転席の窓に問題がありまして。高速道路の料金所で、料金払おうとして窓あけるじゃないですか。パワーウインドとかじゃないから手動でハンドル回すんですけど、するとどうでしょう、一回ししたとたんに窓のガラスがストンと落ちて閉まらなくなってしまいました。料金所のおじさんが笑ってるのはいいんですけど、そのあと高速道路走ると、ものすごい勢いで風が入ってくるわけです。ちなみに真冬です。
ヤマちゃん氏は、
「前にもこうゆうことあったんだよな。」とか云ってます。
それで、また一週間ほどしたときに、私、またシビック運転することになったんですが、窓見ると、ガラスがガムテープで固定されてるわけです。氏は、
「応急処置ね。」とか云ってます。
で、また高速道路に乗るんですが、料金払う時は、私、車降りてからお金払うわけです。
ETCとか発明されてない頃の話です。料金所のおじさん爆笑してます。
そんなことがあって、先輩の車もいろいろ変わっていくんですけど、ある時、中古ですけどベンツを買われたことがあったんですね、突然。
いやあ、直属の上司がついにベンツかあ、と、感慨深かったんですが、このベンツにもやはり弱点がありまして、いつだったか、伊豆の山の中の坂道を登っていた時に、後ろから来たみかん満載した軽トラックに、おもいっきり抜き去られたことがあって、わりと登り坂に弱かったんですね。
私も人のことは言えませんが、あの頃、私の周りには、いろいろに面白い車に、だましだまし乗ってた人、わりといました。
先輩の名誉のために言っときますけど、今は、それはそれは立派な、パキッとした車に乗ってらっしゃいますよ。パワフル高速安定走行、窓はもちろんパワーウインド、ドイツ製ですから、ほんとに。
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